私、今まで炎上することが怖くて、当たり障りないことばかり配信してた。
だけど、それでもやっぱり心無いコメントはたくさんあって、そろそろ気持ち的に限界だった。
あの子もきっと、私と同じ気持ちだったに違いない。
それを、私が助けられたって、こと?
「乾杯しようぜ」
「え?」
「ひとりの配信者を守った記念に、かんぱ〜い!」
カンっ!
短い音が、旧校舎の階段に小さく響いた。
ココアを一口口に含むと、程よい甘さが渇ききった体を優しく潤してくれた。
頭まで冴えた気分がして、自然と笑みが溢れる。
「それだよ」
渡辺くんの言葉に、ココアを飲みながら眉を上げる。
「そういう自然の笑顔。俺、好き」
私は飲んでいたココアを吹き出しそうになってしまった。
慌てて口から缶を離し、口元をふく。
渡辺くんは爽やかに笑いながら、焦る私を見て楽しんでいた。
「なぁ、おまえさ、俺の相棒になれよ」
「あ、相棒?」
「俺と一緒に、やらない?炎上代行」
炎上代行、か……。
悪くないかもしれない。



