翌日。
昨日の配信のコメントが頭から離れなくて、ほとんど眠れなかった。
『学校でもそうやって笑ってんの?』
どうして、あんなことを知っていたのか。
学校ではいつも通り、普通に笑っている。
普通に、空気を壊さないように。
普通に、周りに溶け込んでいるつもりだ。
昼休みになると、私は周りを警戒して旧校舎の階段へ逃げ込んだ。
ここは使われている教室が少ないから、人の出入りも少ない場所。
隠れるのにもってこいだった。
昨日、コメントしてきた人に見られているかもしれないから。
あ!そうだ!
私、何やってるの?
もっと他の人たちに見られてしまう前に、昨日の配信を削除しなきゃ。
どうして、削除するって思いつかなかったのよ……。
「急げ……急いで削除しなきゃ……」
昨日の配信アーカイブを開こうとしたその時。
「その覇気のない声、昨日と同じだな」
「……っ!?」
心臓が止まりそうになった。
階段に座り込んだまま、目を丸くして声の主を見上げる。
そこに立っていたのは、学校でも有名な問題児で同じクラスの渡辺亮太だった。
着崩した制服。
高校2年生だというのに、耳にはピアスを開けているし、髪は茶色染められている。
近寄りがたいのに、なぜか目が話せなくて、人気のある男子だ。
彼の奥二重のキレのある目が、焦ってスマホを隠す私を見下ろしていた。
「え……っと。な、なに?」
私がぎごちなく聞くと、彼は面倒そうにズボンのポケットからスマホを取り出した。
何やら画面を操作し、そしてその画面を私に向ける。
「……炎上代行」
って……。
その、アカウント名、まさかっ!!
「やっと気づいた?」
渡辺くんがニヤリと笑う。



