「それって、告白だって、思っていいの?」
ぎごちなく聞くと、渡辺くんが困ったように眉を寄せて笑う。
「これが告白じゃなかったらなんなんだよ」
「え、だって……。す、好きって言われてないから、その……」
恥ずかしすぎてそれ以上言葉を続けられなかった。
「それ言わないと、付き合ってくれないの?」
「え、いや、そう言うわけじゃないけど……」
「じゃあ、これならいい?」
そう言って、渡辺くんがゆっくり唇を近づけてくる。
優しくて、温かい唇。
旧校舎の静かな階段で、私たちは初めてキスをした。
唇を離して、お互い見つめ合う。
「朝比奈、顔真っ赤」
「わ、渡辺くんだって!」
私が言うと、今度は渡辺くんに強く抱きしめられた。
「好きだよ、朝比奈」
「私も……。私も、大好き」
数ヶ月後。
炎上代行のアカウントは消えていた。
ネットの流行は移り変わる。
あれほど騒がれていた炎上も、少しずつ人々の記憶から消えていった。
あの最後の配信を見ていた先生たちや他の生徒たちも、私たちの本心を知って、あれ以上あれこれ言ってくることはなかった。
でも、全てが消えたわけじゃない。
救われた人。
泣きながら見ていた、誰か。
小さな記憶だけは、きっと誰かに残っていると思う。
世間は相変わらず騒がしくて、優しいものばかりではない。
それでも、もう。
私はひとりじゃないから。
渡辺くんとなら、最悪でも、嫌われても、何を言われたとしても。
きっとずっと乗り越えられる。
だって、炎上代行という誰も成し遂げられないことを二人でやったんだから。
これから先も、私たち二人なら、負けずに進んでいける。
炎上代行〜キミとなら、最悪でいい〜【完】



