「だけど、助けたかったんだ。妹を助けてやれなかった分、妹みたいに苦しんでる人たちを」
「私も……」
私が声を出すと、渡辺くんが私の横がを見た。
「私も、渡辺くんに救われたひとりです。渡辺くんは、誰も気づかない私の本当の気持ちにいち早く気づいて声をかけてくれました。それだけ、人の痛みがわかる人です」
まだ高校生の私たちがしていることは、世間一般から見たらやりすぎなのかもしれない。
さっきのコメントみたいに、人生棒に振りすぎだって思う人もいると思う。
だけど、高校生の今だからこそ、炎上代行なんて危ないこと、できたんじゃないかなって思うんだ。
「俺さ、最初は、おまえのこと利用してたのかもしれない」
「………」
「炎上させるの向いてるかもとか声かけてさ……。俺ひとりでは足りない力を、おまえに借りてたと思う」
私を見る渡辺くんの瞳が、申し訳なさそうに泳いだ。
「でも……」
その瞳が、今度は小さく震えながらも、私を必死にうつしていた。
「気づいたら、世界で一番傷つけたくないし、失いたくない存在になってた」
わ、渡辺くん……。
『えぐっ!』
『それ告白じゃん』
『サラッと言ってるし』
『なんか……泣ける』
渡辺くんが、小さく優しい微笑みを浮かべた。
「俺、どんだけ嫌われても、どんだけ炎上しても、おまえが隣にいてくれればどうなってもいい。だけど、こいつが傷つく顔はもう2度と見たくないから」
そ、そんなこと、配信中に言わなくても……。
カァっと顔が熱を持って、スマホにうつる私の頬はめちゃくちゃ赤くなっていた。
「だから俺は、これから、一番近くにいる大切な人を守っていこうと思ってます」
「………」
「炎上代行をやめないでって言葉をもらったけど、今のこの配信を見てくれてる人たちにはきっと、俺らの気持ち伝わったんじゃないかなって思うから」
「………」
「この先、誹謗中傷がなくなることはないと思うけど、俺らが活動していた時期だけでも、救えた人たちがいたのなら、それでいいです。だから、今日が最後。炎上代行、閉鎖します」
渡辺くんはそう言って、ゆっくり配信を切った。



