炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~


『おっ!きたきた!』
『ってか、今配信して大丈夫なの?』
『どんだけ度胸あんだよ』
『学校特定されたんでしょ?この二人、退学確定だな』

渡辺くんが、私に目配せしながらカメラの設定を開いた。

大丈夫。

私が頷くと、渡辺くんはイタズラな子供みたいにニッと口角をあげた。

カメラ、ON。

スマホの狭い画面に、顔を寄せ合う私たちがうつる。

階段の踊り場にある窓から日が差し込んで逆光になってしまい、スマホを微調整してはっきり顔がうつるようにした。

『え!?顔出し?』
『美男美女じゃん!』
『ガチで高校生だったんか』
『こんだけ問題になって顔出しとか草』

私は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。

「こんにちは!」

笑顔でしっかり声を出す。

「こんにちは〜」

渡辺くんも私に続いて軽く頭を下げた。

「えーと、今日は、ちゃんと全部話したくてこうやって配信しています!」

台本はない。

自分たちの考えをきちんと伝えていこうと思う。

「俺たちは、炎上で誰かを救おうとしてました。間違ってるって言われるかもしれません。まぁ、実際?今先生に怒られたばかりだし」

そう言って渡辺くんが笑う。

「俺が作った炎上代行は、誰かを傷つけるものじゃなくて、今まさに心無いコメントで傷ついている人たちから、世間の目を逸らすことが目的だったんです。SNSに自分の好きなものをアップするのはその人の自由なのに、すーぐ、あれがダメだこれがダメだって言ってくるやつがいるだろ?ほんのちょっとした言葉で傷つくのがネットだ」

コメント欄はすごく静かだった。

視聴者どんどん増えていくのに、コメントが上がってこない。

みんな真剣に渡辺くんの言葉を聞いてくれてるのかもしれない。

「俺の妹も、ネットでの誹謗中傷が原因で、亡くなりました」

『うっそ……マジかよ』
『そんなことがあったんだ』
『それで炎上代行とか作ったんだね。納得……』
『だが、自分の人生棒にふってまですることかね』