突然、ぐいっと腕を引かれ、輪の中から連れ出される。
何重にも重なった人の中を進むのはとても困難だったけど、渡辺くんが私が通れるように腕を引きながら輪をかき分けてくれた。
「え!?相手って渡辺くんだったの?」
「だから私言ったじゃん!渡辺くんに似てるって」
「うっそ!?超ショック〜!!」
聞こえてくる声は、本当にそれぞれだった。
いつの間にこんなに注目を浴びるようになったんだろう。
私たちのやってることって、本当に間違いなのかな。
渡辺くんの考えた、炎上代行って、そんなに悪いこと?
「ちょっと、やばいな。想像以上」
人の気配のなくなった体育館裏の壁にもたれかかって、渡辺くんは膝に手をついた。
私も呼吸が苦しくて肩で息をする。
「ありがとう、助けてくれて」
息を整えながら言うと、渡辺くんはかがめていた体を起こして私に向かって笑った。
「おまえが言ったんじゃん。ヒーローだって」
「渡辺くん……」
「だらか、助けに来ただけ」
そう言って、優しく口角を上げた。
その時……。
「2年1組、朝比奈琴音さん、渡辺亮太くん。至急職員室に来てください」
校内放送が響いた。
私たちは同時に目を見合わせ、大きく頷いた。
「行くか。俺らの戦場に」
「うん。戦おう」



