小さな雑談のような配信で、得意の歌を披露したり、流行りのダンスを踊ってみたり、買ったシール紹介をしたり、ファッションを公開したり。
誰だってやっている内容だ。
「俺もあいつの投稿見たりしてたんだけど……。ある日さ、突然切り抜きが回ってさ」
「……え?」
「まぁ、誰がやったか大体見当ついてんだけど……」
どんなことが投稿されていたのかは、渡辺くんは話さなかった。
私もそれに対しては何も聞かなかった。
妹のプライバシーを守っているんだなって思ったから。
「最初は、そんな悪い噂もすぐにおさまるだろうって思ってたんだ。フォロワーだって少なかったし?だけどさ……」
そこまで言って、渡辺くんはため息と共に項垂れた。
『性格の悪すぎる女子中学生配信者』
『学校特定したらしいよ』
『え?〇〇中学じゃん!』
『もろ近所なんだけど』
『今からその学校行ってみる』
「色んなコメントは拡散されて止まんなくてさ。学校でも面白おかしくネタにされてたみたいなんだ」
そ、そんなことまで……。
渡辺くんは、誹謗中傷の書かれた部分をスクショしていたものを、私に見せてくれた。
『消えろ』
『気持ち悪い』
『存在の意味がわからない』
思わず、息を呑んだ。
想像しただけで、胸が締め付けられる。
「あいつ、毎日泣いてたんだ。俺さ、兄貴なのに、何もしてやれなかった」
「………」
「配信だって見てたんだぞ?コメントにだって当然気づいてた……。こんなコメントくらいって、俺の考えが甘かったんだ」
渡辺くんが握る拳が、細かく震えている。
「妹さ、配信できる精神じゃなくなってすぐにやめたんだけど、ある程度炎上するとさ、あいつが投稿をやめたからって、世間のコメントは止まらなかったんだ」
そこまでして人を傷つけて何が楽しんだろう。
人はなぜ、心無い言葉を投げつけてしまうんだろう。



