炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~


土曜日。

私は渡辺くんの家に誘われた。

もちろん、男子の家に行くのは初めてなわけで、すごく緊張する。

渡辺くんの部屋は、不思議なくらい静かだった。

配信用のライト。

テーブルの上に雑につまれたエナジードリンク。

きっと撮影に使ったであろう小物などが散らばっていて、お世辞にも綺麗な部屋だとは言えなかった。

「その辺に適当に座ってて。何か飲み物とってくるから」

部屋に案内するや否やまた部屋から出ていく渡辺くん。

そ、その辺にって言われても……。

初めて来る人の部屋はなんだか落ち着かなくて、座っていられない。

一人残された部屋を、私はそっと見回した。

この部屋で、渡辺くんは毎日過ごしているんだよね?

どんなことをしているんだろう。

……気になる。

勉強机で勉強してるのかな。

それとも、今エナジードリンクが置いてある、このテーブルかな。

私の配信はどうやって見ていたんだろう。

あのベットに寝転がって、とかかな……。

『こいつのこと泣かせて楽しい?』

あの渡辺くんの表情が忘れられない。

いつになく怒っていたし、それに少し悔しそうにも見えた。

渡辺くんは、どうして人気のない私の配信を見つけて見てくれていたんだろう。

それがなければ、渡辺くんとの接点なんてなかったし、こうやって彼の部屋にいることだってなかったんだよね。

「座っててって言ったのに」

飲み物の入ったグラスを2つ持った渡辺くんが困ったように眉を垂らした。

「初めてだから、なんだか緊張して」

「え、なに?俺と密室二人っきりで嬉しいって?」

どこをどう聞いたらそう言う解釈になるの?

「冗談だって。俺ん家さ、麦茶しかないんだけどいい?」

「ありがとう」

「ここ、座って」

テーブルの上にグラスを置くと、中の氷がカランと音を立てた。

「少しは落ち着いた?」