炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~


渡辺くんの登場により、私たちはカップル配信へと方針を変えていった。

学校では相変わらず、配信者が私だと噂する人で溢れている。

だけど『そんなわけないじゃん』と一言言うだけで、それ以上深掘りされることはない。

それだけ、学校での私は存在が薄いと言うこと。

それに、カップル配信を始めたことによりもっと私だと思う人が少なくなった。

配信以外、校内で渡辺くんが話しかけてくることはない。

きっと、騒ぎを起こしてしまうからだと思うんだけど、配信の中でしか渡辺くんと関われないんだと思うと、なんだか少し複雑な気分になってしまう。

学校での私はいつもひとりぼっち。

だけど人気者の彼は、男女問わず常にみんなの輪の中にいる存在だ。

確かに、私なんかと釣り合うわけがない。

毎日炎上代行をするというわけではなかった。

なにも事件がなければ、私たちの日常を配信する。

顔出しはしなくても、毎日内容を変えて配信を投稿し続ければ視聴者は増える。

配信を始めた頃の私からは考えられないほど、フォロワーも増えていった。

私たちの動画撮影の場所は旧校舎の階段。

誰も来なくて見つかる率ゼロだから。

この日は大量の誹謗中傷DMが届いた。

『偽善者』
『炎上商法』
『消えろ』
『相変わらずキモいまま』

慣れたつもりだった。

特に、渡辺くんと二人で始めてからなんとも思わなくなっていたのに……。

学校での渡辺くんとの距離を感じると、結局私は一人なんだと思い、今日はコメントに耐えきれなかった。

気がついたら、ポロポロと涙が頬を伝う。

『出た、メンヘラ』
『わざと泣いて数字伸ばそうとしてんだろ』
『ダセェやり方』
『彼氏面倒くさそう』

コメント欄がさらに荒れまくる。

その時、渡辺くんが突然横から入ってきた。

「おまえらさ」

低い声だけで、視聴者たちの空気が変わったのがわかった。

「匿名だからって、人傷つけていいと思ってんの?」

さっきよりコメントの流れが遅くなったけれど、それでも心無いコメントは続いている。

「こいつ泣かせて楽しい?」

その瞬間、さらに炎上。

だけど、私を守ってくれたことが嬉しくて、唇を噛み締めて涙を止めた。

渡辺くんは、いつも私の前に来てくれる。