劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

十月に入ると、マシューも学園での生活に慣れてきた。アメジスト・ウルフ寮の先輩とそれなりに話せるようにもなった。とはいえ、マシューが勉強が苦手なのは変わらない。

「う〜ん……」

マシューは問題用紙と向き合っていた。答えを書くはずのペンを握った手は固まったまま動かない。答えが全くわからないのだ。マシューは隣に座るハリーに訊ねる。

「ねぇ、ハリー。この問題の答えってわかる?」

難しい顔をしているハリーはマシューの示す問題を見た後、さらに顔を顰めた。

「俺も勉強苦手仲間だぜ?わかるわけねぇじゃん」

「そうだよね」

少し開けられた窓から風が入り込む。涼しさを含んだ風がマシューの髪を撫でた。不揃いの髪の毛は九月にレンスケたちによって揃えられたため、マシューの今の髪型はどこに行っても恥ずかしくないものになっている。

マシューが首を傾げていると、スッと誰かが近付いてくる気配を感じた。顔を上げれば、ウィルフレッドが優しく微笑んでいる。