劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

その時、ジルが物置に戻ってきた。

「マシュー!ハリーが家の前に来てるわよ!」

「本当?」

マシューは絵の具を持ったまま立ち上がる。ハリー・ノートンはマシューと同じく魔法が使えず、マシューの友達である。

「ちょっと行ってくる!」

マシューはそう言い、走って物置を飛び出した。



シリウスたちはすでにパーティーに出発したようで、屋敷の前をマシューが緊張を覚えながら通っても何も起こらなかった。マシューはそのまま巨大な門まで走る。

「ハリー!」

マシューが大きな声で名前を呼ぶと、門の前で手元にある何かを見つめているハリーが顔を上げる。マシューよりも高い身長、キャメル色の整えられた髪とベージュの目をしたハリーは、ボロボロのマシューを見て目を見開く。

「今日もボロボロだな。手当てするよ」

ハリーは持っている鞄の中から包帯や消毒液などを取り出す。マシューは「ありがとう」と言った。物置には、怪我の治療に使えるものは何もない。

「ちょっと沁みるぜ」

ハリーは消毒のついたコットンを傷に当てる。ピリピリとした痛みにマシューの口から声が出た。

「大丈夫か?」

「うん。まぁね」