劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

「確かに、ジルは不思議な猫だけど……。でも、きっと偶然だよ。僕にそんな力あるわけない。入学許可証は届かないってシリウスさんたちも言ってるし、僕はこの近くの中学校に入学すると思うよ」

九月に入れば、マシューは中学生になる。魔法を学ぶ学園には十二歳から入学できる。しかし、入学許可証がなければ通うことはできない。

『お前は近くの公立中学に通うんだ』

そうシリウスから言われ、ボロボロの中学校の制服と指定鞄を投げ付けられたのはつい先月の話である。

「僕は劣等種だ。勉強も、運動も、何もできない。……魔法なんて絶対使えない」

「マシュー……」

ジルは何かを言いかけて止めた。そして、物置を出て行ってしまう。マシューはそれを見た後、再び絵の具を見つめた。僅かに差し込んできた陽の光に照らされ、絵の具のラメが星のように煌めく。

「綺麗だな……」

これで何を描こうか。マシューの胸が弾む。絵を描くことがマシューは好きだ。絵を描いている時は、「劣等種」と疎まれる自分を忘れることができるのである。