劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

ヴィヴィアンの名前が呼ばれ、彼女は凛とした声で答えると真っ直ぐ歩いていく。その背中を見つめながら、マシューは思った。

(エバンズさんは絶対にアメジスト・ウルフ寮だよね。タイプライターの魔法なんてきっとエバンズさん以外使えないし)

ところが、数分後に鏡の中から姿を見せた彼女の制服のリボンは青ーーーサファイア・オウル寮のものだった。

「えっ?ヴィヴィアン・エバンズって特別な魔法が使えたよね?」

「何でサファイア・オウル寮なんだ?」

そんな声があちこちから飛び交うものの、ヴィヴィアンは気にする素振りを見せずにサファイア・オウル寮のテーブルに近付く。誰かが立ち上がった。グラントだ。彼は驚いた様子でヴィヴィアンを見つめる。ヴィヴィアンはグラントに対し、カーテシーを披露した。

「グラント様。同じ寮になれて嬉しく思っています」

「ヴィヴィアン。私も嬉しいよ。だけど、君はーーー」

「私がこの寮に入りたかったのです」

グラントの言葉を遮り、ヴィヴィアンは笑いかける。グラントの頰が赤く染まった。二人はそのまま椅子に座る。

残ったのはマシューだけだ。視線が集まる。ラルフが口を開いた。