劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

怪我をした女子生徒の方を見ると、「フレイヤ!!」と言いながら二人の生徒が駆け寄っているところだった。一人はアイスグリーンの髪と瞳を持ったアメジスト・ウルフ寮の男子生徒、もう一人はピアニー色の髪と瞳を持ったルビー・ホース寮の女子生徒だ。

「怪我してるじゃないか!無茶はやめてって言ったのに……」

ルビー・ホース寮の女子生徒が泣きそうな顔をする。女子生徒は「ごめんね。オーロラ」と微笑んだ。男子生徒が杖を取り出す。

「傷を治すよ。……サナーレ!」

男子生徒が呪文を唱えると、女子生徒の頰にあった傷が消えていく。女子生徒は男子生徒に笑いかけた。

「ありがとう!」

自分に向けられた笑顔ではない。しかし、マシューの胸が甘く高鳴った。

(この気持ちは何だろう……?)

初めての感覚に首を傾げるマシューを、女の子がジッと見つめていた。



魔族が出たことにより船内はパニックになったものの、すぐに倒されたという話が回ってパニックは落ち着いた。また賑やかな船内に戻り、マシューたちもお昼ご飯を済ませて遊んだ。

デッキでマシューたちは並んで景色を見る。もうすっかり空は夕日の赤が燃え尽き、漆黒に染まろうとしていた。

「あっ!あれがディセントラ魔法学園だよ!」

ジュディスが指差した先には、巨大な城が見えた。マシューの胸に緊張が走る。ここで今日から学ぶのだ。

(僕はちゃんと魔法使いになれるのかな?)

船はゆっくりとディセントラ学園に近付いていった。