劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

「こちらこそ、ごめん」

そう言ったのはフローレンスだった。マシューは慌てて廊下に落ちた本を拾う。

「フローレンス先生、すみません。前方不注意でした!」

「いいよ。私も本で前が見えてなかったしね」

本は十冊以上ある。しかもどれも分厚い。マシューの顔が引き攣っていった。

(フローレンス先生、こんな分厚い本何冊も持ってたの?絶対前見えなくなるよね?)

本を全部積んでいけば、小柄なフローレンスの身長ほどになるだろう。魔法を使わずに手で運んできたことに、マシューは驚いていた。

(ひょっとしてフローレンス先生って、見かけによらず怪力?それとも、怪力になれる魔法とか知ってるのかな?人よりもずっと長く生きるエルフだし)

「マシュー、何か失礼なこと考えてない?」

フローレンスにジッと見つめられ、マシューは「そんなことないです!!」と上擦った声で言う。フローレンスは何冊か手に取り、立ち上がった。

「ぶつかったこと、悪いと思ってるなら本を半分持って」

「あっ、はい!」