劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

「……ッ……う、あぁ……」

マシューはその場に座り込んで肩を震わせる。しばらく泣いていた彼は、膝の上に温もりを感じて目を開けた。ジルがマシューの膝の上に乗り、心配そうな目を向けている。

「ジル!!」

マシューはジルを抱き締める。息が荒くなっていった。涙が止まらない。

「僕、僕だって、魔法使いに……」

叶わないとわかっていても、願ってしまった。劣等種だと言われ続けていても、希望を心の片隅で抱いてしまった。

「マシュー、大丈夫よ。あなたは魔法使いになれる。それも普通の魔法使いじゃない。特別な魔法使いに」

いつもは否定するジルの言葉を、マシューは否定することはできなかった。ただ、泣いていた。



八月三十一日。イギリス・ロンドン。

夏休み最終日の今日は、マシュー・マーキュリーにとっては何も変わらない一日となった。朝からパトリシアとイーサンにいじめられ、ジルに慰められる。

「マシュー。ハリーが来ていたわよ」

ジルにそう言われたものの、マシューの体は動かなかった。魔法使いにハリーがなると知ってから、マシューはハリーに会えなかった。

「……ハリーは僕と違って選ばれた人だから、もう会えないよ」