劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

(オーガスタ先輩が言ってたのは、こういうことだったんだ……)

フレイヤの頰を涙が伝う。マシューは息を呑んだ。あまりの切なさに胸がズキンと痛くなる。

「お願い。私のことが好きなら、名前も、肩書きも、何もかも全部捨てて私と一緒になってよ!あなたさえいればそれでいいの!」

悲恋の代表と呼んでも過言ではないジュリエットを、フレイヤは恐ろしいほど完璧に演じている。マシューの体に寒気が走った。

(目が離せない。これが、もしかしてーーー)

胸に抱いた感情に名前が付けられそうになる。しかし、その直前でマシューは現実に引き戻された。ステージを照らしていた照明がいきなり全て消えたのだ。

「うわ、また機材トラブル?」

「勘弁してくれよ。今週でもう三回目だぜ」

ステージに立っていた役者たちが文句を言い始める。フレイヤも少し戸惑った様子を見せたものの、魔法でマシューたち一年生の前に姿を見せた。貴族のご令嬢のようにフレイヤはカーテシーをする。それだけで、マシューたちの目はまたフレイヤに惹きつけられていった。