劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

(魔法でいじめられていたあの瞬間より全然マシ……)

マシューは痛みを誤魔化すように、ハリーに別の話題を振った。

「そういえば、ハリーは夏休みにスペインに旅行に行ったんだっけ?」

「おう!サグラダ・ファミリアとかミラ邸とか色々見てきたぜ!本場のパエリアとかアヒージョとかうまかったなぁ……。あっ、土産あるんだ!あとで渡す!」

楽しそうにハリーは旅先でのことを語る。マシューは、まるで夢の世界の話を聞いている気分になった。マシューは海外どころか、このロンドンの観光地にすら連れて行ってもらったことがない。

(いつか、僕も行けるのかな)

淡い期待を抱く。しかし、その期待はすぐに自分自身で閉ざしてしまうのだ。

(でも、僕はシリウスさんたちみたいに魔法は使えない。魔法で瞬間移動できたら好きなところに行けるけど、絶対無理だ)

中学・高校を卒業したらこの家を追い出されるのだろうか。それとも、この屋敷で働くよう強制されるのだろうか。マシューは未来への不安を誤魔化すように、ハリーの話を笑顔で聞いた。