電車を降りる。
改札を抜け、夜道を歩く。
昼間より少し冷えた空気が、火照った頭を冷ましてくれる。
それでも胸の奥は、ずっと落ち着かなかった。
文姫。
その名前を考えるだけで、感情が揺れる。
十年前は、もっと単純だった。
好き。
ただそれだけだった。
でも今は違う。
会いたい。
隣にいたい。
笑っていてほしい。
傷ついてほしくない。
そんな感情が全部混ざっている。
だからこそ、怖かった。
また昔みたいに、自分だけが好きになったら。
また文姫を困らせたら。
せっかく戻ってきた関係が壊れたら。
そこまで考えて。
洸太は、ふと立ち止まる。
コンビニの明かりが、夜道へ白く滲んでいた。
高校の頃。
帰り道、よく文姫と寄っていたコンビニに少し似ている。
新作のお菓子を見て笑って。
どうでもいい話をして。
それだけで楽しかった。
洸太は小さく笑う。
あの頃、欲しかったものは。
たぶんずっと変わっていない。
特別なことじゃなくてよかった。
隣にいて。
くだらない話をして。
自然に笑い合える。
本当は、それだけで十分だったのかもしれない。
その時。
ポケットのスマホが震えた。
洸太は反射みたいに取り出す。
文姫だった。
『明日さ』
短いメッセージ。
その続きが来るまでの数秒が、やけに長く感じる。
『なんかまだ実感ない』
洸太は、その文章をしばらく見つめた。
街の音が、少し遠くなる。
『5日まで十年会ってなかったのに』
『明日二人で出かけるなんて』
その一文に、洸太は小さく笑う。
たしかにそうだった。
十年間、完全に別々の人生を生きていたはずなのに。
今はまた、当たり前みたいにやり取りしている。
改札を抜け、夜道を歩く。
昼間より少し冷えた空気が、火照った頭を冷ましてくれる。
それでも胸の奥は、ずっと落ち着かなかった。
文姫。
その名前を考えるだけで、感情が揺れる。
十年前は、もっと単純だった。
好き。
ただそれだけだった。
でも今は違う。
会いたい。
隣にいたい。
笑っていてほしい。
傷ついてほしくない。
そんな感情が全部混ざっている。
だからこそ、怖かった。
また昔みたいに、自分だけが好きになったら。
また文姫を困らせたら。
せっかく戻ってきた関係が壊れたら。
そこまで考えて。
洸太は、ふと立ち止まる。
コンビニの明かりが、夜道へ白く滲んでいた。
高校の頃。
帰り道、よく文姫と寄っていたコンビニに少し似ている。
新作のお菓子を見て笑って。
どうでもいい話をして。
それだけで楽しかった。
洸太は小さく笑う。
あの頃、欲しかったものは。
たぶんずっと変わっていない。
特別なことじゃなくてよかった。
隣にいて。
くだらない話をして。
自然に笑い合える。
本当は、それだけで十分だったのかもしれない。
その時。
ポケットのスマホが震えた。
洸太は反射みたいに取り出す。
文姫だった。
『明日さ』
短いメッセージ。
その続きが来るまでの数秒が、やけに長く感じる。
『なんかまだ実感ない』
洸太は、その文章をしばらく見つめた。
街の音が、少し遠くなる。
『5日まで十年会ってなかったのに』
『明日二人で出かけるなんて』
その一文に、洸太は小さく笑う。
たしかにそうだった。
十年間、完全に別々の人生を生きていたはずなのに。
今はまた、当たり前みたいにやり取りしている。


