昼休み、廊下を歩いていると、女子の声が聞こえた。
「黒月と仲良いとか、絶対調子乗ってる」
「可愛いからってさぁ」
「どうせ可哀想アピールでしょ」
「確か事故で家族死んだんだよね?重…」
その瞬間、息が止まった。
“事故”
“家族”
その単語は、私の中の扉を叩く。
開けたら終わる扉。
私は笑った。
「……あはは」
そして、振り返って言った。
「なにそれ〜。やめてよ〜」
女子たちは一瞬固まって、すぐに目を逸らした。
「……別に」
「星乃さんに言ってないし」
「ていうか、聞いてたの?」
私は笑ったまま、軽く手を振った。
「うん、聞こえちゃった〜」
そのまま、何事もなかったみたいに歩き出す。

