次の日、私は朝から体が重かった。
眠れていない。
眠れない夜は、いつも決まって同じ。
部屋が静かすぎて、呼吸の音まで怖くなる。
テレビをつけて、無理やり音を流して、それでも眠れなくて、朝になる。
だから私は学校へ行く。
学校はうるさいから。
誰かがいるから。
ひとりじゃないふりができるから……。
「透羽、おはよ〜」
「おはよ!」
誰かが笑えば、私も笑う。
誰かが話せば、私も頷く。
それが私の生き方。
なのに今日は、笑うたびに胸が痛かった。
黒月のことが、頭から離れない。
近づいちゃだめ。
失ったら、耐えられない。
そう思っているのに。
航斗の声が、胸の奥に残っている。
“失わせねぇ”
そんなこと言われたら、
信じたくなるに決まってる。
私は、馬鹿だ。

