航「ただ……ムカつくだけだ」 「ムカつく?」 航「お前が、お前を殺してんのが」 その言葉が、胸の奥に落ちた。 私は息を飲んだ。 殺してる。 私が、私を。 それを認めたら、もう戻れない。 私は笑って、手首をそっと引いた。 「じゃあ、私帰るね」 航斗の指が少しだけ強くなる。 航「逃げんな」 「逃げないよ」 私は笑う。 「ただ、近づきすぎたら……困るから」 言ってしまった。 本音に近い言葉。 航斗の目が一瞬だけ揺れる。 でも私は、笑顔で続けた。 「私はね、失うの、怖いんだ」