斑が、今までで一番小さい声で言った。
斑「……そんなわけねぇだろ」
「そんなわけあるよ」
私は明るく言った。
「だって、泣いても何も変わらないし、怒っても嫌われるだけだし」
伊織が、ふわっと私の前に立った。
伊「透羽ちゃん」
「なに?」
伊「笑ってたら……ほんとに、楽になるの?」
私は答えられなかった。
楽になるわけない。
ただ、孤独が少しだけ薄くなるだけ。
自分の心が空っぽになるだけ。
でも私は笑って頷いた。
「うん。楽になるよ」
迅が静かに言う。
迅「それは逃げです」
その言葉に胸が刺さった。
「……逃げてもいいじゃん」
私は少し強く言った。
「逃げなきゃ、生きていけない人もいるでしょ」

