案の定だ。
あいつは怒鳴って、震えて、そのあと笑った。
……笑いやがった。
「ふざけんな……」
俺は小さく呟いた。
あいつは嘘をついてるんじゃない。
嘘をつかないと、生きられないだけだ。
それを見て見ぬふりするほど、俺は優しくない。
航「逃げても無駄だ」
誰に言ったのか分からない声が、屋上に落ちた。
伊織が小さく言う。
伊「……航斗、追いかけるの?」
俺は答えた。
航「当たり前だろ。今さら放すかよ」
迅が静かに笑った。
迅「……なるほど。航斗はもう、決めてしまったのですね」
俺は扉から目を逸らさずに言った。
航「決めたんじゃねぇ。
……最初から、逃がす気がねぇだけだ」
航斗side end
