航斗side
屋上の扉が乱暴に閉まって、透羽の足音が遠ざかる。
残ったのは、風の音だけだった。
斑が舌打ちする。
斑「……なんだよ、あいつ」
伊織は黙ったまま俯いている。
迅は眼鏡の奥で、目を細めていた。
叶兎はフェンスにもたれ、空を見ている。
俺は、扉を見つめたまま息を吐いた。
……やっぱり、そうだ。
あいつはずっと、壊れそうだった。
俺が「おい」って言ったのは、斑や迅を止めたかったわけじゃねぇ。
透羽を止めたかった。
あいつが本音を吐いた瞬間、あいつはきっと、怖くなって逃げる。
言った自分を責めて、また笑って蓋をする。
そうなるのが分かってた。
