「あ、ごめんね」 「……別に」 女子は睨んで去っていく。 後ろからひそひそと聞こえる声。 「ほんとムカつく」 「黒月に守られてるからって」 「どうせすぐ捨てられるくせに」 “捨てられる” その言葉に、胸が苦しくなった。 表情を崩さないように歩く。 大丈夫。 大丈夫。 でも、心の奥が震える。 捨てられるのは、怖い。 捨てられるくらいなら、先に捨てる。 そうやって生きてきた。 なのに今は、捨てたくない。 そんな自分が怖い。