屋上から逃げたあと、私は教室に戻れなかった。 階段を下りて、廊下を曲がって、誰にも見つからない場所へ行く。 空き教室に入って鍵をかけた瞬間、膝が震えた。 息ができない。 胸が苦しい。 笑顔を作る必要がないのに、私はまだ口角を上げようとしてしまう。 癖。 呪い。 私は額を壁に押しつけた。 ……なんで、話したの。 ……なんで、言っちゃったの。 黒月に過去を話したことが、怖かった。 知られたら終わると思っていたのに、知られた瞬間、もっと怖くなった。 失う。 絶対に失ってしまう。