記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

今日はトレッキングに行くようだ。

マリは久しぶりに乗ったのだが、怖いとは思わなかった。

そういえば始めてレオンに乗った時も怖いとは思わなかったなあと思い出した。

よほどレオンとは相性がいいのだろう。

三崎の後について行くと、この前行った山の方に向かっていた。

あのベンチに腰かけて眼下の眺めにほ~っと息を吐きだしていると

「ここに来るのはマリさんと来て以来なんです。ここに来るとあなたを思い出して苦しくなると思って来られなかった。ユキさんがマリさんの元に帰って来てくれたそうですね。そしてご結婚されたとか、おめでとうございます。先を越されてしまいましたね」

「ありがとうございます。彼とやっと一緒に暮らし始めることができました。貝原さんにわがまま言ってお仕事も時々させて頂いているんですよ。三崎さんの結婚式ももうすぐですよね」

「はい、今度の重賞レースにビーナスが出走するんです。その後の6月に予定しています。」

「まあ、ビーナスが重賞レースに!楽しみです。私もビーナスの事気にして時々貝原さんに教えて貰っていたんですよ。「新馬戦に優勝してからもいい成績だと聞いています」

「実は、調教師がレースの前にマリさんの写真を見せているんです。このレース頑張ったらお前のビーナスが会いに来てくれるぞって言ってるそうなんです」

「ええっ、何ですかそれ」

「いやあ僕もこないだそれを聞いてびっくりしたんですよ。なんでも新馬戦でマリさんがビーナスに会いに来てくれたでしょう?その様子を見ていて思いついたそうなんです。僕らが行ってしまった後もビーナスはじーっとマリさんの後姿を目で追っていたそうなんです」

「まあ、そうなんですか、ビーナスが…」

マリは絶句した。

「レオンと言い、ビーナスと言いマリさんは馬に愛されるんですね。羨ましいですよ。僕の婚約者は馬は怖いと言って乗馬も拒否していますよ」

そういって三崎は少し寂しげに笑った。