記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

やっとユキって呼んでくれた。さっきの“あなた”には参った。

もう許してもらえないかと思った。

「興信所に頼んでマリを探してもらった。マリがしてくれたように…これまでも時々興信所にマリの事調べてもらってた。どんな仕事をしているとか、どんな所に行ったとか、ちょっと前に三崎グループの御曹司と週刊誌で騒がれたよな。それをつい最近知ってちょっと焦った。でも、御曹司は他のご令嬢と婚約したみたいだから安心したけど、だから今度も興信所がマリの事見つけてくれたんだ」

「なんか、変な気分ちょっとストーカーぽいよ。大丈夫弁護士さん」

「そうだよな、マリが訴えたら弁護士バッチ返さないといけなくなるかもな。でもそんな事よりマリが大事なんだ。マリが辞めろっていうなら弁護士もやめる」

「何言ってるの。ユキは弁護士があってるのよ。あんなに苦労して頑張って最速で弁護士になったのに」

「そうだけど、それはマリがそばにいてくれたからだ。マリが俺を支えてくれてできたことなんだ。大学時代も修習生の時も弁護士になってからも、ずっとマリがお弁当作ってくれた。マリのお弁当が俺は大好きだった。マンションを買おうと頑張って二人で貯金したよな。なのにそれを100万今のマンションを借りるのに使ってしまった。ごめんなマリ、腹が立っただろう」

マリは首を横に振った。

「あれはユキのお金だよ。弁護士としてのお給料を貯めていたんだから…」

「違う、マリが一生懸命に節約してためたお金だ。マリのお金だよ。そのお金を使って裕美と一緒に暮らしている俺を許せないのはよくわかってる。でも絶対にマリを取り戻すって決めていたんだ。”青い瞳の俺のビーナス“を誰にも渡すつもりはない。貝原さんでも、渡せない」

「貝原さんはユキに憤っていたからあんな風に言っただけよ。あの時隣の部屋で聞いていたんだ。でも出ていけなかった。行けばユキをもっと困らせると思ったから」

ユキの話を聞きながらマリはまた静かに涙を流していた。

ユキが見つかるまでは決して泣かなかった。

そしてユキが自分の元には帰ってこないと分かった時に涙が枯れはてるまで泣いた。

「マリ、俺の側にいてくれるよな。俺を許してくれないか。マリがいいと言えばすぐに婚姻届けを出しに行こう。記憶が戻った時に一番後悔したのが、婚姻届けを早く出しておかなかった事なんだ。そうすれば裕美にもマリが妻だと言えたしすぐに諦めてもらえたと思うんだ」

ユキは心底無念そうに言った。