記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

マリは自分の部屋の前でユキが真っ赤な顔をして今にも倒れそうにして座り込んでいるのを見て腕を組んで冷たく言った。

「何やってんの?どうして部屋まで知っているのよ。階段を走ってきたの?」

ユキはしゃべる事もできないようでうんうんと首を縦に振っている。

この季節もう沖縄はすっかり気温が上がっている。

荷物をもって5階までダッシュしてきたのならヘロヘロだろう。

マリはユキがちょっと可哀そうになったが、こんな事で許す気はない。

「そこどいてくださる?邪魔なんですけど」

そう言うとユキは今にも泣きそうな顔をしてドアに頭を持たせかけて

「お願いだマリ。何でもする。話を聞いてくれ」

と項垂れてしまった。

こんなマリは見たことがない。

毅然としてユキを拒絶しようとしているのだ。

ユキはマリに会えればきっと誤解はすぐに溶けると思っていた。

「そこをどいて頂けないなら、警察に電話しますよ弁護士さん。バッチを取り上げられたくないならすぐにどいてください」

「嫌だ。警察に電話するなら電話してくれてもいい。マリともう一度一緒に居られないなら弁護士なんてやめてもいいんだ」

ユキはこうなったらてこでも動かないだろう。頑固なんだから…

それにこんな廊下でもめているわけにもいかない。

仕方なくマリはドアを開けて部屋に入れた。

そして、今コンドミニアムのソファーに座ってこの頃はまっている冷たい紅茶をユキに出した。

ユキはありがとうと言って嬉しそうにごくごくと飲み干した。

のどが渇いていたのだろう。

「マリ長い間待たせてごめん。マリの事いつも気にしていた。でもこないだドラマに出てきた時は驚いたけど…裕美が数日前に村に帰ったんだ。俺がマリしか愛せない事裕美の事は妹としか見られない事がやっと納得いったみたいだ。半年もかかったけれど俺もほっとした」

ユキはもう一杯水を飲んで話を続けた。

「恵子さんを裕美の母親だけど、亡くした裕美はきっと混乱していて俺に縋っていたんだと思う。村には幼馴染で泰樹という優しい青年がいて裕美はたぶん彼と結婚すると思う。恵子さんの1周忌が済んだら、きちんと結婚式を挙げるように彼に言ったんだ。だから、俺はこうしてマリを迎えに来れた。伊藤先生に無理言って5日間の休みを貰えたんだ。東京に帰ろう。俺の所に帰って来てくれるよね」

「ユキって相変わらず俺様で自分勝手ね。私がいつまでもユキの事待ってるって思ったの?大体どうしてここが分かったのよ。誰にも言ってないのに」