記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

マリは途中で何で自分はユキをコンドミニアムまで連れて行っているのかよくわからなくなった。

二度と会わない人ではなかったのか?

マリより裕美を選んだのではなかったのか?

それなのに大きな顔をしてマリの事を“俺の青い瞳のビーナス”と呼んだ。

マリはコンドミニアムの前で足を止めた。

「なんであなたを部屋に入れなければいけないの?あなたは裕美さんと一緒にいる事を選んだはずでしょう?私は一人でもやっていけると言ったわよね。その通り一人でやっていくからあなたはもう帰って」

ユキは突然のマリの“あなた“呼びに怯んだ。

マリが怒っている。

それも今までに見た事が無い位に怒っている。

ユキは旅行鞄を持ってマリについて行っていた。

手を引かれて…でもさっき手を振り払われた。

「だからマリ、その事でちゃんと話したい。俺が記憶が戻った後二人できちんと話していないだろう?」

「あなたが事務所に来て貝原さんと話したのをちゃんと聞いていたから大丈夫よ。分かってる。あなたが2年の恩を一生かかって返すと言う事も、私は一人でもやっていけるから捨てても大丈夫だと思っている事もちゃんと聞いたからご心配なく」

と冷たく言い放つと、一人でコンドミニアムに入って行こうとする。

「ちょ、ちょっと待って、かなり誤解があると思うんだけど。それにあなたってなんだよ。まるで他人みたいじゃないか」

「あら、あなたがそう思っているんでしょう。裕美さんは家族だからみすてていけないけど、私は一人でもやっていけるから捨てていけるって事でしょう?私は家族じゃないって事じゃない。赤の他人よ。じゃあさよなら」

マリはとても腹が立っていた。

ユキの言動が勝手すぎて頭は噴火しそうなほどだ。

これまでの人生でこんなに腹が立ったことは無い。

どっちかというと穏やかな性格のつもりだった。

こんなに強い性格だったのかと自分でも驚いた。

ユキに冷たく当たってちょっと後悔したが、それよりも怒りが大きかった。

マリは毅然としてコンドミニアムの中に入って行って丁度来たエレベーターにさっさと乗り込んで扉を閉めてしまった。

ユキはあまりのマリの怒りに一歩遅れてエレベーターに乗り遅れてしまった。

でも部屋も知っているので、大急ぎで階段を上って503のドアの前でまりを待っていた。

ゼイゼイはあはあいいながら…