記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

きっともう故郷の村に帰りたいんだろうと思う。

あんなに海の綺麗な空気の美味しい静かな村だ。

そこで生まれた時から裕美は暮らしていたんだ。

村の人はほとんどが知り合いで皆で助け合って暮らしている。

そんな裕美がこの東京に馴染めるとは思っていなかった。

いつか村に帰りたいと言うだろうと思っていたので、俺は裕美の気が済むまで見守っているつもりだったのだ。

まさかあんな風に突撃してくるとは思わなかった。

でも、一緒に村に帰ろうと言ってきたので、裕美はきっともう限界なのだろう。

明日でも時間を取って話してみようと決めてユキはどこで時間を潰そうかと考えていた。

午後の予定も終わってまだ6時だった。

ユキはマリの所属事務所に行ってみようと思った。

ひょっとしたらマリの顔をちらっとでも見られるかもしれないというわずかな期待でしかないが…

マリが居るかもしれない場所の近くに行くだけでもいいのだ。

まるでストーカーだ。

これが知れたら一発で弁護士バッジを取り上げられるだろう。

でも、ユキは自分を抑えることができなかった。

前にも一度行っているのだ。

丁度事務所の道の向かいのビルの2階にカフェがあって、そこから事務所の入り口がよく見えるのだ。

マリが出かけたり帰ってきたりしたら顔が見られるかもしれない。

着いたのは6時半ごろだった、事務所にはまだ電気がついていた。

ユキはここで夕飯を済まそうと一番手早くできそうな焼きそばを頼んだ。

焼きそばを食べ終わってコーヒーを飲みながら事務所を見ていると貝原らしき男が事務所から出てきた。

その後すぐに女性が出て来て電気も消えてしまった。