記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

そして、今は恵子さんの49日の法事を終えて裕美と一緒に東京に帰る為に新幹線に乗っている。

東京のマンションにはその間に一度裕美は来ている。

必要なものはすべて揃えたつもりだが裕美が見て必要なものを買うためでもある。

裕美が持ってくるのは自分の服といつも使っている生活用品だけで済むようにしてある。

冷蔵庫も洗濯機も電子レンジも炊飯器も必要な電気製品は一通りそろえた。

みんな新品だ。

マリと暮らし始めた時は皆中古でしか買えなかった。

それも少しずつ揃えたのだ。

優先順位を二人で考えて一つの物を買うのにリサイクルショップを何件も回ったものだ。

ダイニングテーブルの4脚の椅子は皆不揃いで、マリはそれに手作りでカバーを作った。

“これでお揃いの椅子になった”と言ってどや顔をしていた。

弁護士として一法律事務所に勤めだして高給取りになっても、マリは贅沢はしなかった。

性能のいいオーブンを買うのにも料理教室の受講料が高いと言って逡巡するマリが可愛かった。

ユキは二人で暮らしたマンションで見つけたマリの手作りの小さなぬいぐるみを見つめて”マリごめんな“と呟いた。

裕美はケンが置いて行った手紙を読んでいた。

母恵子と裕美には感謝している。

今では家族のように思っている裕美は大切な妹なので裕美が嫁に行くまでは俺がきちんと面倒を見ると書いてあった。

そしてマリはとても大切な人で出張に出る前の日に婚姻届けに記入して帰ったら役所に届けるつもりだったと書いてあった。

もっと前にきちんとしておかなかったことが悔やまれるとも…

2人は同じ養護施設の出身でマリが18歳で施設を退所してから一緒に暮らし始めたて、弁護士になる為にマリが働いてを支えてくれたので弁護士になれたのだ。

お金もなくてマンションの電化製品は皆リサイクルショップで買った。

中古のミシンでマリがカーテンやクッションを手作りした。

何一つ贅沢させてやれずに自分は記憶をなくしてしまってマリを忘れてしまった。

でもマリは諦めずに俺を探してくれていた。

モデルになったのも俺を探すため自分の顔がテレビや街のポスターに出れば俺が帰って来てくれるかもしれないと思って頑張っていたのだ。

この2年マリが興信所のお金もずっと払い続けていてくれた。

でも葬式の時に裕美と俺を見て誤解したのだ、それで身を引いてしまった。

今は携帯電話の番号も住んでる所もわからなくて会えないのだと言う事

でも俺は心からマリを愛している。

必ずいつかマリを取り戻すと決めている。

裕美も恵子さんも俺にとっては恩のある大切な家族なのだ。

マリもまた恩のある大切な人なのだ。

でも今は裕美を一人にはできない。

恵子さんが亡くなって心を痛めている裕美が元気になるまで側にいるから安心してほしいと結んであった。