記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

マリは新しくした携帯の番号を、ユキには教えていない。

連絡は事務所の貝原にするようにしてもらっている。

伊藤先生にもユキには教えないで欲しいと言ってある。

電話で声を聴いてまだ平静でいられる自信がないからだ。

その上また他人行儀な話し方をされたなら立ち直れない。

それからの日々は仕事に明け暮れて過ごした。

初めて演技をするという事にも戸惑っていたが、案外マリには素養があったようで演技というよりその人物にすっと感情移入ができていたようだ。

演技自体に戸惑ったり悩んだりすることはなかった。

結局その後も、連続ドラマの仕事が入って予定の1年をオーバーすることにはなった。

貝原は仕事を辞めるという結論は後でいいから少し自由に旅行でもしてくればいいと言ってくれた。

貝原はボーナスだと言って通常の給料以外に100万円をポンとくれた。

もし仕事を辞めると決めたなら退職金と思って受け取ればいいと言ってくれた。

マリは貝原に感謝して、ありがたく頂いた。

これから先の事を考えて、ユキを待ち続けた2年以上の時間を振り切らなければならない。

今のマンションの賃料は事務所が払ってくれているのでどちらにしても早く結論を出さなければならない。

マリはとりあえず暖かい沖縄に行く事にした。

そういえばマリの母親の故郷は沖縄だと言っていた。

沖縄に行ってみようと決めて少しづつ前に進めている自分に自信を持った。