記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

そして今マリは三崎に連れられてビーナスの馬房に来ている。

栗毛の優しい顔をしたビーナスは、マリに鼻先を摺り寄せて甘えてくる。

「可愛い」

と思わず呟くと

「ビーナス、よかったな。お前の名前の由来になった青い瞳のビーナスのマリさんだ。今日はマリさんが見ているからな頑張れよ」

そういって三崎はビーナスの首を励ますように優しくたたいた。

ビーナスは分かったというように頭を何度も縦に振っていた。

「まるで三崎さんの言う事がわかるようですね。賢い馬ですね」

「うん、ビーナスはすごく賢い馬だと思います。何頭も見てきたけれどビーナスは言葉がわかるんじゃないかと思う時があるんだ」

「ビーナス、すごいわね。あなたは賢くて美しいわ。一番で帰って来てね。楽しみに見てるわよ」

その後二人は早めのお昼を食べるの事にした。

競馬場の中のレストランは落ち着いて食べられないので競馬場を出て10分ほど歩いたところにある店に行こうと三崎は言った。

マリは競馬場内のレストランで十分だと言って、三崎を引っ張っていった。

和食のレストランがあってまだ昼前なので空いていた。

「三崎さんはこんなところでは食べたことがないでしょうね。私はフードコートでもよかったんですよ」

そういっていたずらっぽく笑うマリに三崎は目を見開いて魅入っていた。

「僕だって、普段はファーストフードも食べますよ。今日はそんなにおしゃれなマリさんをそんな所に連れて行くのは申し訳ないと思ったんです」

「馬主席のドレスコードを見て1週間悩んで考えたんです。貝原さんにはサングラスと帽子は必修と言われてとても悩んだんですよ。変じゃないですか?」

「別にドレスコードなんて気にしなくてもいいんですよ。僕はひょっとしてビーナスが優勝した場合に写真撮影があるので、スーツにネクタイにしただけですよ」

「本当に勝つといいですね。なんだか勝つ予感がします」

「実は僕もなんですよ。食事がのどを通らないかも…」

「あらっ、案外繊細なんですね。私はしっかり頂いて大きな声で絶叫しようと思っているんですけど」

そういってマリは声を出して笑った。

「なんだかそういわれて緊張感無くなりました。しっかり食べてビーナスを応援します」

「そうですよ。頑張って応援しましょう」