記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

ユキが見つかって、心に余裕もなくクラブに来るのは3週間ぶり位になる。

レオンの優しい目を見て思わずレオンの首筋に抱き着いて涙を流してしまった。

「レオン、ごめんね。こんな気持ちでレオンに乗せてもらうなんてできないね。今日はレオンと会えただけでいいわ。ブラッシングして馬房のお掃除をさせてもらおうかなあ」

そういってレオンを撫でていると、三崎がやってきて

「マリさんどうしたんですか?そんな悲しそうな顔をして、レオンが心配しますよ」

「そうですよね。ちょっと悲しい事があって今日はレオンのブラッシングをして馬房のお掃除をさせてもらおうかと思っているんです。こんな気持ちでレオンに乗るわけにはいかないですし」

そういうと、はかなげな微笑みを三崎とレオンに向けた。

「そんな事ないんですよ。こんな時だからこそレオンに慰めてもらうんですよ。なあ、レオン」

三崎がそう言うとレオンはさあ乗れというようにマリを鼻先で鞍のほうに押しやった。

「ほら、レオンもそう言っている」

「わかったわ、レオン。ありがとう」

そうして三崎と二人でトレッキングに出かけた。

今日はいつもと違うコースでずっと山のほうに上っていく三崎の後をついていくと広く開けた場所に出た。

三崎は馬を降りると、マリに手を貸して降りるように即した。

2頭の馬は周りの木につないでくれた。

小さなベンチが一つある。

そこに座って、三崎は水の入ったペットボトルを手渡してくれた。

「僕に話してみませんか?」

「マリさんがなぜモデルをしているか貝原さんには事情を聴いています」

貝原は三崎の大学の先輩だと言った。

貝原のほうがかなり上だと思うがたまたま大学全体の同窓会の世話役になったことで知り合ったそうだ。

「そうなんですか。実はその彼が見つかったのですが、今まで助けてもらった恩人の方が亡くなられてその娘さんが一人になってしまったと言う事で、面倒を見なければいけないらしくて結局私は切り捨てられたと言う事です」

三崎は何も言わずに静かに聞いていた。

「貝原さんが2年の恩を一生かかって返すのかと聞いた時、彼は何も言いませんでした。きっとそういう事なんです。私も気持ちを切り替えないといけないのになかなか上手くできなくて」