記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

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マリは事務所にいたのだ。

貝原とユキの話を聞いていた。

貝原がそこで聞いていろと言ったからだ。

ユキに会いたかった。でも、マリが出て行くときっとユキを困らせる。

こっちに帰って来て一法律事務所でまた弁護士として働くようだ。

良かった。

ユキには弁護士が似合う。

そういう正義感が強いのだ。

だから、彼女を突き放すことができないのだろう。

マリの事より彼女の事が心配なのだとよくわかった。

マリはユキの愛情を疑って悪かったと思う。

今でもマリの事を思ってくれているのはよくわかった。

でも、彼女をこちらに呼んで暮らすつもりなのだろう。

彼女はきっとユキの側を離れないと思う。

あの時マリを睨みつけた彼女の瞳にはユキへの執着心とマリへの憎悪が見えた。

2人の姿を見るのはつらい。

ユキはそんな彼女を振り払えるほど冷たい強い人間ではないのだ。

マリは自分が引くより仕方がないと思い知った。

ユキへのこの想いを封印するのはなかなか難しいが、マリが強引に出てしまえばユキが苦しむ。

板挟みになってユキが傷つく、それだけはしたくなかった。

ユキが傷つくくらいなら自分が傷つくほうが良い。

ユキと貝原との話を聞きながらそう決めた。

心は血の涙を流しているけれど、区切りをつけて前を向かなければ…マリはそう自分を鼓舞した。

マリは今保留にしているドラマへの出演を貝原に言って進めて貰おうと思っている。

この容姿なのでできる役は限られるだろうけれど、話が来ているドラマは単発のドラマで準主役というポジションだった。

貝原がすごく乗り気なのだ。

このドラマへの出演は貝原に対しての感謝の気持ちからだ。

多分モデルという仕事に絞るなら幸はもうすぐ26歳なので利用価値はこれから下がる一方だと思う。

女優ならまだ将来は長い。

ただマリはユキが見つかって期限の3年が来たら良い区切りで辞めさせてもらおうと思っていたのだ。

でも、ユキはマリの所には帰ってこなかった。

一人で暮らして行くのなら仕事はしなければいけない。

マリは想うようにはならない今の状況に悩みながらも、とにかく今は仕事に打ち込むことに決めた。