記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

あの日出張に出かける俺を見送ってくれたマリの顔が思い浮かぶ、笑って手を振ってくれていたが心細そうな目をしていた。

何か感じるものがあったのかもしれない。

もっと前に婚姻届けを出しておくべきだった。

俺が結婚していたと知れば裕美も諦めるだろう。

これからも妹として気にかけて行く。それでは駄目なのか。

今は俺に依存してしまっている裕美をどうしたらいいのか俺自身分からない。

もう一度マリと暮らしたマンションに戻ってそこらで買ったボストンバックに残ったスーツ3着とネクタイをつめた。

クローゼットの引き出しを開けると俺の下着や靴下だけがきちんとたたまれて残っていた。

それを見て、マリがもうここにいないことを思い知った。

入るだけいろいろ詰め込んだ。

マリが作った小さなぬいぐるみがクローゼットの奥に落ちていた。

中古のミシンで色々楽しそうに作っていたマリの顔を思い出して泣いた。

そのぬいぐるみを自分の持ってきたバックにしまって最後にもう一度ベッドに座ってマリをの事を想った。

マリの裸を初めて見た時それだけでいってしまいそうになった事、マリの感じている顔が美しすぎて困った事を思い出してまた泣いた。

このベッドで二人抱き合って眠ったのだ。

あの幸せをもう取り戻すことはできないのだろうか?

2度とマリをこの腕に抱くことはできないのだろうか?

こんなにマリを愛しているのに、マリでないとダメなのにマリがそばにいないと息ができないのに心が死んでしまったようだ。

マリは俺を探しながら俺を待ちながらこんな気持ちでいたのだろうか?

マリの側に駆けて行ってこの腕に抱きしめたいのにそれができない悔しさ、悲しみに押しつぶされそうになった。

よく二人で行った近所のコンビニやスーパーに行った。

あまり食欲はなかったが、弁当とビールと次の日の朝用に菓子パンを2個買ってきた。

そしてその夜はマンションにぽつんと残されたベッドに服のまま眠った。

電化製品や家具などはすでに処分されていた。

このベッドと引き出しはそのまま置いていってくれと大家は言っているそうだ。

ずっとここに居続けてくれたマリの気持ちに感謝し、思うようにできない今の自分の境遇を嘆いた。

マリを想いながら泣きながら眠ったようだ。

マリが中古のミシンで作ったカーテンから淡い朝の光が差し込んできて目が覚めた。

天井のシミを見てよく二人で馬に見えるだとかクマに見えるだとか言って笑いあったのを懐かしく思い出した。