記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

「違う、絶対に違う俺にはマリしかいないんだ。マリを忘れていただけだ」

「ならどうして思い出したならすぐにマリの所に帰ってこないんだ。もう2週間以上経ってるじゃないか。その間何してたんだ」

「俺は2年前に彼女と彼女の母親に助けられたんだ。何も覚えていない俺を家に住まわせて健康になるまで世話をしてくれた。2年の恩がある。母親を亡くして俺しか頼る人がいない彼女を捨ててはいけない。ただそれだけだ。彼女は妹のような存在なんだ。家族なんだ。困っている家族を放ってはいけない」

「ほう、2年ね。マリは何年あんたを支えたんだ。あんたが弁護士になるまで何年だ。子供のころから考えて見ろ、18年以上じゃないのか?それなのに2年の彼女を選ぶんだな家族だからか、マリは家族じゃなかったんだな。一緒に暮らしていたのにか?」

俺は何も言い返せなかった。

「マリは今は俺がいなくてもちゃんとやっている。もう少し待っていてもらいたい。必ずマリのもとに帰るから」

「ふ~ん、都合のいい男だなあ。ならマリは俺が貰う。俺がマリを守るよ。一人でやっていけるなんてよく言うな。マリはただお前が帰ってくるまでと思って嫌な仕事も笑顔で乗り切っているんだ。心の中は傷だらけだ。だから俺がマリを守る。お前はもう手を引いてその彼女とやらを幸せにしてやるんだな。2年の恩を一生かけて返していけばいい」

貝原社長に言われて俺はグーの根も出ない。

でも、マリは誰にもやりたくない。

自分はほかの女と暮らしているのに…俺は自分の都合のいい言い訳に自分自身に腹が立ってきた。

「とりあえずこれをマリに渡してください。また、弁護士として伊藤先生の事務所で働かせて貰う事になったので、部屋を借りるのに100万だけ使わせてもらったけど、あとはマリのものだからマリに渡して下さい」

「女と暮らすマンションを借りるためにこのお金を使ったんだな。すごい神経をしているな。さすがは弁護士の先生だ。これはマリに渡しておく。さっさと帰れ」

そういって追い出された。

もうマリに合わせる顔がない。

社長の言う事はいちいちもっともな事だ。

マリにどれだけ支えてもらったか、マリがいたから弁護士になれたのだ。

俺のもう一つの夢はもう叶わないのか、マリと結婚出来ればそれでいいと思っていた。