記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

出棺が終わった後マリの姿はどこにもなかった。

誤解されたかもしれないが後日きちんと話そうと思う。

マリの携帯番号もすんでる所もわかっているのだから…

そう思っていた俺はとことん甘かった。

それ以降マリとは話す事も会う事も叶わなかった。

儚くて消えてしまいそうなマリは何も言い返さず。

ただ黙って俺達を見ていた。

俺の腕の中にいる裕美を見つめていた。

他の女を大事そうに抱いている俺を見てきっとショックだっただろう。

それでも今の裕美を置いてはいけなかった。

それに漁師のおっちゃんは俺を当てにしてくれているのだ。

明日からの漁も行かないと困るだろう。

ここではいろんな人に親切にしてもらった恩がある。

組合のほうは何とか辞められるだろうが、漁のほうはおっちゃんとしっかり話をしないと急にやめても困るはずだ。

俺は記憶が戻ったがにっちもさっちも行かない状況に追い込まれていた。

そのうちに山梨がマリから預かったと言って鞄いっぱいの大事な書類を持ってきた。山梨は

「記憶が戻ったのは分かっている。ユキが今一緒に暮らしている人を選ぶならその人と幸せになって欲しい。でも伊藤先生にはちゃんと会いに行って今後どうするか話し合ってほしいとマリさんからの伝言です」

そう言うと大事な物の入ったカバンを置いて帰っていった。

その村で彼女と暮らすにしても、伊藤先生の好意でユキはまだ一法律事務所の弁護士なのだからと言っていたと聞いた。

マリはもうあのマンションを引き払うそうだ。

山梨はもう一度ユキに会いに来てマンションの鍵と、マリの伝言を残して行った。

ユキのいるものを取りに来てほしいと言う伝言を…

何度掛けてもマリの携帯にはつながらない。

現在使われていないと言うメッセージが流れるだけだ。

山梨に言ってもマリの新しい番号は教えてくれなかった。

マリの意向だと言って…