記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

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ユキは山梨に声をかけられてマリの写真を見た後ひどい頭痛がして混乱していた。

そして山梨の話を聞いて、マリという名前を聞いて沢山の風景が走馬灯のように押し寄せてきた。

電話をしてマリが“ユキ“と言った時に記憶が嵐のように頭に蘇って行った。

でも恵子さんが倒れたと泣いて電話してきた裕美の所にとりあえず帰らなければならなかった。

マリには改めて連絡しようと思い村に帰ったのだ。

その夜恵子さんの入院する病院のベッドの横で泣き疲れてベッドに突っ伏して眠る裕美を見つめながら、すべての記憶が繋がっていくのを感じた。

すぐにマリに会いに飛んでいきたいと思ったが、こんな状況の恵子さんと裕美を置いてはいけなかった。

そしてそれから5日後恵子さんは一度も目を覚ますことなく亡くなってしまった。

くも膜下出血と言う事だった。

俺は呆然とする裕美を励ましながら恵子さんを家に連れて帰って葬儀の手配をした。

俺の黒のスーツは葬儀社のレンタルで裕美は持っていた黒のワンピースを着た。

近所の人が焼香に来てくれる中、裕美はずっと俺の胸に縋って泣き続けていた。

二人っきりの家族で裕美は一人っ子なので兄弟もいない親戚も付き合いはないようで、頼れるのは俺だけだったのだ。

そんな中マリが現れた。

マリは輝くように美しかった。

2年の間に大人びて色気も半端ない。

俺の青い瞳のビーナスは今や全国的に人気のモデルなのだ。

裕美を胸に抱きながら思わず”マリ”と呟いた。

それでマリは分かったのだろう。

俺がマリを忘れてはいない事を…

でも俺の胸の中には裕美がいるマリはどんな気持ちでこの状況を見ているのかと思うと胸が痛かった。

でも、裕美を突き放してしまう事ができなかった。

一歩一歩涙を流しながら近づいてくるマリに

裕美は“母さんが逝ってしまった今私にはケンしかいない。ケンは私の側にずっといるって約束してくれた。ケンまで取り上げないで帰ってもう二度とこないで”と叫んだ。

マリはぴたりと動きを止めた。

マリは心根の優しい女だ。

裕美の言い分に言い返す事なんかできない。

自分も両親を亡くしているのだ。

裕美の気持ちは痛いほどわかるだろう。

だから裕美の言い分を無視できないのだ。

俺はずっと一緒にいるとは言っていないがそんなことを言っている場合じゃなかった。

とりあえずもう出棺が迫っているのだ。

俺を助けてくれて信じてくれて家においてくれた恵子さんを最後にちゃんと見送らないといけない。

裕美にももう泣き止んでしっかりお母さんを見送るんだと諭した。