記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

ユキを見つけさえすれば元の生活に戻れるなんて、なぜそんな風に考えてしまっていたんだろう。

ユキのマリを見る目には憐憫と謝罪の色があった。

マリは山梨に東京に帰ると言った。

もうここには居たくなかった。

ユキと彼女の暮らすこの地方にいたくなかった。

マリに連絡する気持ちがあるなら、携帯の番号も知っているはずだし、山梨に連絡すればすぐにマリに連絡ができる。

山梨に聞けば今のユキの携帯の番号もわかる。

でもマリは自分から連絡するつもりはなかった。

今でも、彼女を胸に抱くユキの姿が脳裏を離れない。

ユキはもうマリの元には戻ってこないだろう。

その夜遅くマンションに着いたマリは、ユキとの思い出がいっぱい詰まった部屋を見てまた涙を流していた。

こんな風ではしばらく仕事もできないかも知れない。

社長の貝原に電話して泣きながら詳細を伝えた。

もうこのマンションに居たくないというとまた涙があふれてきた。

貝原には何度も引っ越せと言われていたのだセキュリテイの良いもっと都心に近い所のマンションに引っ越せと再三言われていた。

でもユキがひょっこりと帰ってくるかもしれないという期待が捨てられなかった。

マリはユキとの思い出が詰まったマンションから出られなかったのだ。

でも、ここから離れないとマリは次に進めない。

初めてこのマンションを離れなければと言う思いがよぎった。

貝原に引っ越したいというと直ぐにマンションを用意するから心配するなと言われた。