記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

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一方マリは携帯を握り締めたまま呆然としていた。山梨に再び変わって

「マリさん、刈谷さんの住所も携帯番号も聞いたので心配いりませんよ。今まで世話になった方が急に倒れられたとかで急いで戻られたのです。でも、記憶は戻ってなかったです」

「あ、ありがとう。山梨さん…」

マリはそれ以上言葉にならなかった。

いなくなるのも突然だったけれど見つかるのも突然で、マリは心の準備なんかできていなかった。

2年ぶりに聞いたユキの声は相変わらず少し低くセクシーだったけれど、まるで他人に話すような感じだった。

“マリさん“と、”申し訳ありません“と言ったのだ。

ユキのその他人に対するような言葉使いにマリは傷ついた。

記憶がないと言っているようなので仕方がないのかもしれないが、マリは携帯を握り締めて泣きくずれた。

明日の仕事の打ち合わせ中だったので、社長の貝原も目の前にいたのだ。

でもマリは涙を止めることができずしばらくわんわんと声をあげて泣き続けた。

事務の優子さんがタオルを持ってきてくれて、マリはタオルに顔を押し当ててないた。

貝原は何も言わずじっとマリが泣き止む迄待ってくれた。

優子さんはずっと背中をさすり続けてくれた。

2人の優しさがありがたかった。

やっと泣き止んだマリに貝原は事情を聴いてきた。

マリにも詳しい事がわからなかったが、ただユキはマリの事を忘れているのだと言う事だけは理解できた。

思いっきり泣いて落ち着いたマリは、すぐに山梨に電話をして詳しく事情を聴いた。

ユキはA市よりずっと南の小さな漁村にいるらしい。

2年前に海岸に打ち揚げられて死にそうな所を助けられて今もその家に厄介になっていると言ったそうだ。

記憶が全くないそうで自分の歳も名前もわからず、弁護士だと言ったらすごく驚いていたようだと山梨は言った。

貝原はとにかく会いに行ってみろと言ってくれたが、時間が取れるのは1週間後になる。

山梨にそう言うと一緒に行ってくれると言うので甘えることにした。

貝原も行くと言ったがそんなに皆でぞろぞろ行ったら驚かせてしまう。

貝原にはスケジュールを調整してもらっても3日間の休みをもらった。