記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

ユキと違ってマリは親子3人とても仲のいい家族だった。

自分一人だけが取り残されたことが悲しかったし、理解できなかった。

同じ車に乗っていてマリはちょっとした怪我で済んだのだが、両親は二人とも即死だった。

だから一晩でたった一人になってしまったマリはずっと夢の世界にいるようだった。

悲しい夢を見ているようだ。周りを薄い膜で囲まれて何が何やらわからなかった。

ただお母さんもお父さんもその膜の中には居ない事だけはわかった。

その膜の中で膝を抱えて座り流れる涙をぬぐおうともしなかった。

そんなマリをユキは片時も離れず世話を焼いてくれた。

涙を拭いて食事を食べさせて一緒に小学校にも通った。

半年もするとマリも現実を受け入れた。

両親は死んでしまって自分は一人ぼっちになってしまったのだとだからここに居るのだと理解した。

2学年上で頭の良かったユキはマリに勉強を教えてもくれた。

マリだけでなくユキは養護施設の皆からユキ兄と言って下の子供には慕われ少し上の子供にも頼りにされていた。

マリはおとなしく顔も可愛いかったので、学校では女の子にはのけ者にされていた。

学校で上履きを隠されたり、机に落書きされたりは日常茶飯事。

何かで班を作る時もいつもマリはどこにも入れてもらえずに先生が班を指定するのだった。

でも、ユキがいるから平気だった。

マリの母はハーフだったらしくその血を引いたのだろう髪の毛はアッシュブラウンで瞳の色も薄いブルーだ。

なので、余計に構われるのだろう。男の子には髪を引っ張られることもある。

美容院になんて通えないから髪は長く伸び放題で、前髪はサイドに流してピンでとめ、後ろで長い髪を一つにまとめて黒いゴムで括っている。

中学校に上がると養護施設の職員の人に髪は染めていなくて天然なのだという証明書を書いてもらわなければいけなくて面倒だった。

養護施設の子供達には年齢に合わせてお小遣いも支給されるので、マリはそれを貯めてユキの誕生日にプレゼントするのが楽しみだった。