記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

やっと目を開けた瞳の色は濃いブラウンで二重瞼の大きな目を見開いて“ここは?”と聞いてきた。

でも自分の名前も年もどこから来たのかも何もわからないと言ってぼ~っとしていた。

風呂に入って軽く食事をとらせるとまた眠った。

裕美はかいがいしく彼の世話をした。

母親の恵子は裕美が彼にのめりこみすぎていると心配しているけれど、彼は裕美がいないと何もできないのだ。

免許証もないので車を運転することもできないし、身元がはっきりしないので働きに行く事もできない。

何も覚えていないので連絡のしようもない。

医者の費用も保険証がないので結構な金額になるのだが、人のいい村の医者は保険診療の価格位の診療費にしてくれた。

もちろん裕美が払った。

村の医者は頭を打っているので大きな病院で頭のCTを取って調べてもらった方がいいと言った。

でも、保検証もないのでCTを取ってもらったらどれだけのお金を払う事になるのかわからない。

ケンは今は何ともないので働いてお金がたまったら大きな病院に行って検査してもらうと言った。

ケンは2カ月ほど家でゆっくりしていたが、自分の身元が分からないのは不安のようだ。

県内の行方不明者届に該当するような人はいないのか調べるために警察まで行ったが、該当する人はいなかったようだ。

近所の人に自転車を譲ってもらって、村のあちこちを見学して回った。

その内に漁師のバイトを見つけて朝早く漁船に乗って昼すぎに帰ってくるという仕事を見つけた。

働かざるもの食うべからずだとか何とか言って仕事が見つかって嬉しそうだった。

定置網漁の漁船で漁師は裕美の父親の知り合いのおっちゃんだったので記憶喪失なのだと説明したら何も聞かずに雇ってくれた。