記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

点滴も功を奏したのか、その日の昼すぎにその男の人は目を覚ました。

裕美はすぐに水を飲ませた。

のどが渇いていたようだごくごくとコップに3杯位一気に飲み干した。

佐々木先生がもう一度来てくれた。

でも、名前も何も覚えていない様子で、ぼーっと一点を見つめている。

何を聞いても頭を横に振るばかりだった。

佐々木先生は頭に殴られた跡があるのを見つけた。

きっとそのせいで脳震盪を起こして一時的に記憶喪失になっているのかもしれないと言った。

傷は深くはなく血ももう止まっているが、砂などが傷口に入っているので消毒してきれいにして絆創膏を張ってくれた。

名前もわからないのでは困ってしまうので、仮にケンと呼ぶことにした。

少しおかゆを食べた後ケンは夕方までまた眠った。

夕方に起きて風呂に入って夕食はモリモリ食べた。

相変わらず無口なのだが、美味しいと言って夕食はほとんど残さずに食べた。

ケンは風呂に入ってさっぱりしてお腹も膨れてまた眠くなったのだろう。

寝ると言って朝まで一度も起きずに寝ていた。

その間に裕美は、車で30分ほどの所にある隣街のショッピングセンターに行って、ケンの下着類や部屋着を2枚づつ買いそろえてきた。

裕美は彼を海岸で見つけた時、王子様が倒れているのかと思った。

なぜか人魚姫の話を思い出した。

でも人魚姫は王子様を助けて自分は泡となって消えるのだ。

自分はそんな風に消えるつもりはなかった。

長いまつげにすっと通った高い鼻、眉毛は男らしく濃く一筆書きしたようにきれいに真直ぐに目の上に描かれてあった。

口は薄く口角が上がっているので苦しそうにしていても、深刻には見えない。

早く彼の瞳が見たいと思った。

絶対に彼を助けてみせる。