記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

でもその日はレストランで半分程が貸し切り状態になっていて衝立てで仕切られていた。貝原は御曹司を紹介してくれた後どこかに行ってしまった。

彼は三崎グループ取締役専務三崎宗吾と書いた名刺を渡してくれた。

三崎グループは乗馬クラブや北海道には牧場も所有しているそうで馬具の製造販売もやっている大きなグループ会社のようだ。

マリはそういうことにあまり興味がなく、よくわからないが、取締役で会社と同じ名前の彼は直系の御曹司なのだろう。

それ位はマリでも想像できる。

「ユキさん、本名のマリさんと呼んでもいいですか?貝原さんに本名も聞いたんです。西城マリさんって」

「ええ、もちろんです。どうぞマリと呼んで下さい」

「ありがとう、マリさん、僕はあなたのファンなんですよ。青い瞳のビーナスの…こんなことを聞いてはいけないのかもしれませんが、何歳か教えてもらえないですか?ちなみに僕は31歳です」

31歳と聞いてマリは飲んでいたジンジャエールを吹き出しそうになって慌てて飲み込んでせき込んだ。

「ごめんなさい。今日乗せてもらったレオンが6歳馬で人間にしたら31歳だと聞いたので、ちょっと可笑しくなってしまいました。私は23歳です。モデルにしては歳がいってますよね」

「いいえ、だから落ち着いた雰囲気だなと実際に会ってみて思いました。8歳差なら許容範囲か」

後のほうはマリにはよく聞こえなかったが、

「乗馬って今日初めてだったんですがとても楽しくてレオンにすっかり魅了されました。ハンサムで優しくてかっこいいんですもの」

そういってほほ笑むマリに三崎は釘付けになっていた。

食事中は馬の話や乗馬クラブの話で盛り上がって初対面の人は苦手なマリが珍しく警戒を解いてリラックスしていた。

そんな風に構えずに三崎と話をしている事に自分でも驚いていた。

「マリさんこの乗馬クラブに所属しませんか?入会金も何もいりません。馬具も服もすべて提供しますから」

「そんな、そこまでしてもらうわけにはいかないです。もっとモデル業で稼げるようになったらこのクラブに入ってレオンにまた乗りたいです。それを目標に頑張ります」

「いいえ、青い瞳のビーナスがこのクラブに所属しているというだけで宣伝になるんですよ。時々僕とトレッキングとかしてもらえればそれで充分、うちのメリットにもなります。時間ができてレオンに会いたくなったら僕に連絡してください」

三崎はそう言ってさっきの名刺の裏に携帯の電話番号をサラッと書いた。