記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

一法律事務所のほうからも何人かユキを探しにA市に行ってくれたのだが、何も足取りはつかめていない。

忽然と消えたユキにマリはどうしていいかわからずマリは仕事の休みの日や有休をとって毎週ユキの写真を持ってA市を訪れて朝から晩までユキを探して回ったのだ。

もう3カ月もこんな生活を続けていて有休もほとんど使ってしまった。

ユキのいないマンションの部屋は真夏だというのに心寒い。

食事も一人で食べるのは味気ない。

養護施設ではたくさんの子供達と一緒にワイワイと話しながら食べていた。

そして隣にはいつもユキがいた。

あまりおしゃべりが上手でないマリはいつも聞き役で、そんなマリが話に入って行けるようにユキがいつも上手に誘導してくれた。

決して豪華な食事ではないしおかずも1品でお味噌汁とご飯だけの粗末なものだ。

それでも夕食の時間は楽しかった。

養護施設を出てユキと暮らし始めて二人で今日あったあれこれを話ながら、マリの作った夕食を美味しい美味しいと言って食べるユキが大好きだった。

今一人のがらんとした空間でユキを想うとすぐに涙が溢れてしまう。

マリが泣いているといつも黙ってその涙をぬぐってくれたユキ。

ユキは本当に子供の頃からマリしか見ていなかった。

”俺の青い瞳のビーナス”と言い始めたのは高校生になった頃だったか…

そんなユキが、マリを置いてどかに行ってしまうはずがない。

きっと戻って来てくれる。

”マリごめんな”と言って優しく抱きしめてくれるはずだ。

マリはホテルの仕事を辞めてユキを探すために、モデルになる事を決めた。

何枚か貰った名刺の中で一番誠実そうな社長の事務所を訪ねて行った。

貝原事務所はそんなに大きな会社ではなく、モデルが20人ほど所属している。

後は事務員が1人と事務のパートの人が一人にマネージメントやモデルのスケジュール管理をする男性が2人いるだけだ。

マリは貝原社長にどうしてモデルをやろうと思ったのか包み隠さずその理由を話した。

そしておこがましいがマリの条件で働かせてもらえないかと聞いた。

その条件とは、ユキを見つけるためにモデルになるのでユキが見つかったらすぐに辞めたい事

水着にはならない。なるべくテレビCMに採用されるようにしたい事。

そしてマリのキャッチフレーズは”青い瞳のビーナス“にしたい事。

ユキがマリをいつもそう呼んでいたので、それをどこかで聞いたならユキがマリの元に戻ってきてくれるかもしれない。

一人で探すには限界があった。

一法律事務所では興信所を頼んで探してくれているがこの3カ月成果は出ていない。

だから、マリはモデルになってマリの姿を世間にさらしてユキを探そうと決めたのだ。