記憶を無くしたイケメン弁護士は運命のビーナスを取り戻せるか!

でも最近、客室係に変わったらしい。

客室の掃除が主な仕事になるらしいのだが、裏方だからお客様に直接会って話すこともないから気が楽になったと言って喜んでいる。

客室係の人はパートのおばちゃんが多いらしく若くて可愛いマリは娘みたいだと言って可愛がってもらえているようだ。

それに時短料理とかおばちゃんならではの豆知識を教えてもらえると、とても楽しそうにしている。

前の職場ではお客様から誘われたり告白されたりしたことも月に一度はあったようでずっと異動を希望していたのでそれが叶って嬉しいと言っている。

ホントにマリは美しすぎて男を引き寄せるのだ。そう言うと“馬鹿ね、そう思っているのはユキだけよ“と言って笑っている。

客室係に変わったことで出勤時間が変わって朝のラッシュに会う事は無くなったが、夜遅くなるのは相変わらず週に2回ほどある。

だから夜はできるだけ迎えに行っている。

マリには相変わらずモデル事務所の勧誘が多い。

お金は稼げるかもしれないが、俺は頑として反対している。水とパンの生活になってもマリをモデル事務所に所属させるつもりはない。

司法修習を終えてこの4月から一法律事務所で働き始めた。マリと暮らし始めて3年目の春になる。

伊藤一先生は司法試験に合格した時からと言うかT大の法学部に合格した時から“うちに来いよ、他の事務所の勧誘に迷うんじゃないぞ“と言っていたのだ。

そんなことあるわけないと思っていたが、大学4年で司法試験に合格した時から、いろんな事務所からの勧誘が来た。

判事や検事にならないかと大学の先生に言われた事もある。

トップの成績で合格したので、弁護士なんかいつでもなれるんだから判事や検事をやってからでも遅くないと先生にしつこく言われたのだが、俺は伊藤一先生の下で働くと決めていたのでぶれることはなかった。

司法修習生の給料と言うか給費は安い。

マリの給料より安いのだ。

司法修習が始まる時にもうしばらくはマリに頑張って欲しいと頭を下げた。
マリは“いいよ。赤ちゃんができたらちょっと困るけど、それまでは私も働きたい”と言ってニコニコしていた。

とにかく司法試験が通ったのだからそれで十分と言っていた。