バド×ハピ~きみのことなんか好きじゃないし!~

おもむろに陽向がすぅっと力いっぱい息を吸った。
お腹いっぱい息を吸ったところでグッと止めて、くるっと体育館の方を向くから何をするのかなって…

「湊が準備体操の模範やりたいってぇぇぇーーーー!!!」

一気に叫んだ。
キーンって耳がおかしくなるかと思った。

陽向の声はとにかく大きくてとにかく響くから、その声にわたしまでビクッとしちゃったし。

「湊が模範やるってぇぇぇぇーーーーー!!!」

「おい、やめろ!」

ちなみに準備体操の模範って言うのは大会前に体操をする時にステージに立ってみんなの前でお手本になる人のこと。
先生に指名されてステージに立つことになるの。

「香耶先生、湊がっ」

「お前っ!」

そしてあたりまえにみんなやりたくない、だって恥ずかしいし。
あわてて立ち上がった湊くんが陽向の口をふさいだけど、体育館の中どころか外までしっかり聞こえてる陽向の声はたぶん香耶先生の元まで届いてる。

こうなったら確実にやらされると思う、なんてたって元バドミントン混合ダブルス選手の香耶先生はスポーツマンシップにのっとりまくりだからね!

「お前…っ」

「あ、香耶先生こっちでぇーす!」

「いい加減にしろよっ」

手招きをすればすぐに香耶先生が走って来る、決まりが悪そうな顔をした湊くんは逃げたくても逃げられない。香耶先生、足もめっちゃ早いからね。

「行くよ、ひな!」

「えっ」

ジャージを引っ張った、やっぱりわたしに触れないようにするから。


…それなのにドキドキして、心臓がドキドキしてた。

どうしてか、わかんないけど。